ミハイル・プレトニョフ指揮 「悲愴」-ロシアナショナル管弦楽団
以前「名曲の楽しみ」でプレトニョフ指揮「悲愴」を流していた。優等生的な演奏だけど好感を持った。図書館から借りて聴いたムラビンスキーの演奏は各楽器が独立して高密な名演なのだが重くて馴染まなかった。何たって3楽章の終わりは暗過ぎる。時代が生む音楽、必要とする音楽があるのだ。
この日は悲愴を聴きに行ったといっても過言ではないのだけど、バイオリン協奏曲では、体躯の見事なオーケストラ団員を背景に、ソリスト川久保賜紀さんは怯むことなく感受性の鋭い叙情性に溢れた熱演を繰り広げた。マゼンダ・ピンクとオレンジを混ぜた華やかなドレス姿が不思議なくらい、いつしかオーケストラに溶け込んでいた。
さて「悲愴」である。お箱といえるプログラムなので完璧な仕上がりはもちろんだが、2楽章からが特に素晴らしかった。ロシアの悠久な大地と空の広がり、風の流れが脈々と波打つ。格調高いチューバを主体としたダイナミックな金管楽器、チェロをふくめた弦楽器群、打楽器群も大奮闘。ちょっと久しぶりに涙ぐんだ。チャイコフスキーは西洋的だと言われているけれど、心が動される音楽の底流には民族的な秘薬が隠れていると思う。
7月4日(土) 2時 サントリーホール
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