« ミハイル・プレトニョフ指揮 「悲愴」-ロシアナショナル管弦楽団 | トップページ | 佐藤美枝子・中鉢 聡 デュオリサイタル »

モスクワ放送交響楽団 オペラ《イオランタ》

瑞々しい美声と端正な技法で盲目の姫イオランタを演じた佐藤美枝子。声楽的に申し分ない舞台である。しかし、騎士ヴォデモンであるオレグ・ドルコフが、前半に脆弱な印象を与えるファルセット表現があったにせよ、一目で恋におちたイオランタに光の世界を教え、彼女に訪れる新たな心の覚醒と清冽な恋は、人格と人格が相対(あいたい)する内奥から溢れる劇的な表現を求めたい。

オペラ全体はレネ王であるドミトリー・ベロセルスキーの、深い愛惜と熱情的な父性を表現したバスの豊かで強靭な歌声が導線となり、抑制され翳りを帯びた前半から愛の力を根底に見開かれたイオランタの現象的な世界を、チャイコフスキー「交響曲第5番」が微かに混在したシンフョニックなオーケストラと習熟した合唱団の抱合によって、歓喜のコーダへ向かう。

モスクワ放送交響楽団にとって手馴れたロシアン・オペラということもあるだろう。ソロ・バイオリンとハープの重奏、独奏チェロの響き、管弦楽器、ティンパニー、合唱全ての透明な音色が縦横に駆使され、甘美で叙情的なチャイコフスキー世界を的確に見事に表現し、十二分に感動を誘う堪能の時となった。 /コンサート形式 6月5日 サントリー・ホール

|

« ミハイル・プレトニョフ指揮 「悲愴」-ロシアナショナル管弦楽団 | トップページ | 佐藤美枝子・中鉢 聡 デュオリサイタル »

文化・芸術」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1091367/30509220

この記事へのトラックバック一覧です: モスクワ放送交響楽団 オペラ《イオランタ》:

« ミハイル・プレトニョフ指揮 「悲愴」-ロシアナショナル管弦楽団 | トップページ | 佐藤美枝子・中鉢 聡 デュオリサイタル »