リスト「ピアノ協奏曲第1番」、ワーグナー「ローエングリン前奏曲」他, 日本フィル56回さいたま定演
フランスとゲルマン的な審美性の中に、高貴な退廃のエスプリが微かに香り立つ演奏となったリスト「ピアノ協奏曲1番(変ホ長調)」。主題を変奏曲風に扱う、あるいは主題を何回も再現し全曲に統一感をもたせる循環様式である曲想に、叙情と詩性を織り交ぜた柔軟且つ安定した児玉麻里さんに拠るピアノ力奏。ベルカントの息遣いに共通する自然で優しい美しさと量感に溢れた技法は再び触れたい歌心だ。高音弦楽器を軸としたオーケストラの表情や音色もたおやかで安堵感を誘ったが、そうした内なる世界で鮮やかにピアノと呼応した木管楽器や3・4楽章で多用されたトライアングルの透明な響きが心地よい。
プログラムが進むにつれてコントラバスの丸みを帯びた深いピッチカートの錬磨が均衡な張力をステージ中央に引き寄せ、アンコール「ローエングリン 第三幕前奏曲」では楽器全てが縦横に手繰り寄せられた熱演となった。イングリッシュホルン(木管楽器)が壮大なワーグナーの交響的幻想へと展開する独特な存在感を如実にしていた。
帰路へ向かう聴衆から安らぎと穏やかさが伝わってくる週末の夜だ。
2009年11月6日(金)午後7時~ 大宮ソニックシティ 指揮 外山雄三 ピアノ 児玉麻里演奏 日本フィルハーモニー交響楽団
参考資料 門馬直美著 西洋音楽史概説








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